かわいい子には旅をさせろ、という諺がある。
昔の旅は過酷で、厳しい経験を積むほど成長するため、かわいい子ほど敢えて旅をさせよ、という意味。
この諺は、サーファーとして、人としての成長をのぞむ場合にも当てはまる。
ホームブレイクでのサーフィンはもちろん楽しいが成長したいなら旅をした方が良い。
波に少し乗れるようになってくると、もっと乗りたい、こんな技がしたい、とエゴがでてくるが、旅でのサーフィンは初心に返してくれるし、経験値を与えてくれる。
いつもと違うポイントでは、
まずは波をしっかり見る、ラインナップを見る、リズムを壊さないように場の空気を感じる。
木を見て森を見ず(波ばかり見て、ピークの雰囲気を感じない)とならないよう、感覚を研ぎ澄ませ全体を俯瞰する。
波が来た時は、自分が乗って良い波なのか瞬時に判断し、乗れそうな時は、波をキャッチすることに集中する。
特に最初の一本は、五感(六感)を総動員する必要がある。
「リスペクトを!」とよく言われるが、しっかり挨拶し、横柄にならず、場の雰囲気を壊さず、謙虚にサーフィンする。そのような気持ちで海に向き合うことだと思う。
もし旅先でのサーフィンで、ゴーゴーと言って貰えたり、セットを譲って貰えたりした日には最高。そのラインナップで少しだけ認めて貰えたことの証かも。
そして、波への探究心を持ち続け、人との繋がりを大事にしていると、ひょっとすると無人のブレイクに出会えるかもしれない。
旅の夜、今日の余韻に浸ったり、明日はどんな波に出会えるか静かに夢想する。
そんな貴重な経験ができたなら、サーファーとして一回り成長していることだろう。
旅先でのサーフィンが素晴らしいものになるかどうかは自身の心掛け次第。
その気持ちを忘れずに、遠くても、近くても旅してみる。
またサーファーにとってトリップの目的は波だが、そればかりを求めると広い世界を狭めてしまう可能性もある。
サーフィン以外にも色んな所を訪れてみる、
遠まわりして帰ってみる、
一人で、パートナーと、気の合う仲間と、誰と行くにしても、目的地に行くまでや帰路に、美しい景色に出会えたり、多少のハプニングがあるかもしれないが、サーフィンだけでなく少し回り道をする。そういった旅ができると、人生はもっと楽しいものになる。
最近やっとそう思えるようになってきた。
もうすぐ春。
大人数で入ってくるグループがいたり、前乗りが日常茶飯事となっているストレスフルな環境でサーフィンするよりも、旅を考えてみるのもいいかもしれない。